同位体

FT-IRでわかる同位体効果 ― O–H と O–D の波数の違い

yusuke

FT-IRで振動を見る

赤外分光法(FT-IR)は、
分子が持つ特定の赤外線吸収パターン(分子の振動)を測定する装置・手法です。

  • 結合の伸び縮み(伸縮振動)
  • 曲がる動き(変角振動)

などに対応する赤外吸収ピークを得ることで、化学構造などを調べます。


O–H 結合と O–D 結合の違い

水素を重水素(D)に置き換えると、O–H 結合は O–D 結合になります。

  • O–H:軽い
  • O–D:重い

振動数は原子の質量に依存するため、

  • 伸縮振動
  • 変角振動

に由来する吸収ピークは、O-HとO-Dで、波数が大きく異なります。

振動数は質量で変わる

振動数 ν はνkμν∝μk​​

で表されます。

  • k:結合の硬さ(バネ定数)
  • μ:換算質量(結合している原子の質量から計算)

同位体で k はほぼ同じなので、
違いは質量 μ だけです。


O–H と O–D の波数比

換算質量の比を簡単に考えると、O–D は O–H の 質量がほぼ2倍 になります。

その結果、振動数はνOD/νOH120.707νOD​/νOH​≈2​1​≈0.707

となります。

つまり O–D の伸縮振動は O–H の約 1/√2 の波数に現れる、というわけです。

ただし、これは理論上の計算によるもので、

実測値は水素結合などの影響によって変化します。

FT-IRでの同位体効果の見え方

  • 結合の形は同じでも、原子の重さが違うだけで波数が下がる
  • 振動エネルギーが変わる
  • 同位体効果を実験で確認できる典型例

ポイント

  • 赤外吸収は、結合の振動エネルギーに依存
  • 質量が大きくなると振動が遅くなる
  • その結果、波数が低くなる

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