化学分析の実践ノウハウ

0.1mol/L 過塩素酸酢酸溶液の標定のポイント

yusuke

酢酸を溶媒とする非水滴定は、主に医薬品の定量法として広く用いられています。
本記事では、滴定液である0.1mol/L 過塩素酸酢酸溶液の標定について、押さえておきたいポイントを解説します。


1. 滴定液のファクターは変動する

滴定液のファクターは、次の要因で変動することがあります。

  • 揮発の影響:酢酸が揮発すると過塩素酸の濃度が高くなる
  • 吸湿の影響:空気中の水分を吸収すると過塩素酸の濃度が低くなる
  • 温度変化:酢酸は水より体積の温度依存が大きく、液温の変化でファクターも変動する

また、購入した滴定液にはファクターがラベルに記載されていますが、これは20℃での値であることに注意してください。


2. 標定は測定日ごとに行うのが理想

可能であれば、測定日ごとの標定を行うのが理想です。
とはいえ、業務の状況や作業量によっては、毎回の標定が難しい場合もあるでしょう。

そのような場合には、標定の頻度をあらかじめ決めて運用することが有効です。
例えば、時間経過によってファクターがどの程度変化するかを確認し、要求される精度に応じて標定の間隔を設定します。
これにより、業務効率を落とさずに測定精度を維持することができます。


3. 標準物質と使用時の注意点

滴定液の標定には、フタル酸水素カリウムを使用します。

  • 純度が確定された容量分析用標準物質を必ず使用する
  • 認証書に記載の方法で、事前に乾燥してから使用する

⚠️ 溶解時の注意点

  • フタル酸水素カリウムは酢酸に溶けにくい
  • 少し加温するか、しばらく攪拌して完全に溶解させる
  • 完全に溶けたことを目視で確認してから滴定を開始する

完全に溶解していないと、滴定液のファクター測定自体に誤差が生じます。必ず確認を徹底しましょう。


4. 見落としがちなポイント:液温の管理

滴定液の標定時と試料測定時で液温が大きく異なると、測定値に誤差が生じる原因となります。
これは、酢酸が温度変化に伴う体積変化が大きいためです。

そのため、標定時と試料測定時では、できるだけ液温を揃えて測定することが重要です。


5. まとめ

  • 滴定液のファクターは揮発・吸湿・温度変化で変動する
  • 測定日ごとの標定が理想だが、業務状況などに応じて標定頻度を調整可能
  • 標準物質は純度の確定されたものを使用し、乾燥・溶解・目視確認を徹底
  • 滴定液の液温を標定時と測定時でできるだけ揃える

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