カールフィッシャー法

予備滴定が終わらない・ドリフト値が下がらない原因と対策【カールフィッシャー法】

yusuke

装置を立ち上げた後に、予備滴定が終わらない、あるいは電量法でのドリフト値が低下しないといった現象に悩んだことはありませんか?
本記事では、その主な原因と現場でできる対策を解説します。


1. 水を含んだ空気が滞留

原因

  • フラスコ内の空間に、水を含んだ空気が滞留する
  • 予備滴定が終わらない、ドリフト値が低下しない原因として多い

対策

  • フラスコをおだやかに振り混ぜ、滞留した空気中の水分を溶液に溶かし込む
  • その後、予備滴定を行う

2. シール不足による外気の侵入

原因

  • 共栓・電極のすり合わせ部のシール不足で外気が侵入

対策

  • 共栓や電極のすり合わせ部にグリースを薄く塗布
    ※シリコングリースはヨウ素と反応するため不可
    メーカー推奨品を使用してください

3. 双白金電極の汚れや変形

原因

  • 電極表面の汚れにより抵抗が大きくなり、電圧が高くなる
  • 双白金電極の2本の白金線が接近しすぎている、または離れすぎている
    →電圧測定が不安定になる

対策

  • メタノールなどで洗浄し、ペーパーウェスで拭き取る
  • 目視で判別できないコーティングを形成している場合もある
  • 白金線の間隔を慎重に調整し、まっすぐ平行にする

4. セプタムの劣化

原因

  • 注射器用側栓のセプタムはゴム弾性で自動的に穴が塞がる
  • 劣化すると穴が完全に塞がらず、外気が侵入する原因になる

対策

  • セプタムを覗き込み、穴が空いていないか目視で確認
  • 穴が空いている場合は、新しいセプタムに交換する

5. 乾燥剤の劣化

原因

  • シリカゲルやモレキュラーシーブの乾燥能力低下
  • シリカゲルのインジケーターが変化している場合は交換が必要

対策

  • 劣化した乾燥剤は新しいものに交換
  • 理想的には“劣化前に”交換
    交換する頻度をあらかじめ設定し、運用

6. 試薬の劣化

原因

  • 試薬交換せずに連続して測定できるが、無制限ではない
    →測定可能な許容量がある
  • 許容量に達すると予備滴定が終わらない、ドリフト値が低下しない

対策

  • 試薬を交換する
  • 許容量は試薬メーカーに確認して管理

7. 隔膜に染み込んだ水分の影響

原因

  • 電解電極を水洗いしている場合など
  • 電解電極の隔膜から水分が徐々に溶解する
  • 隔膜は多孔質であるため、染み込んだ水分は、なかなか除去できない

対策

  • 電解電極は水で洗わない
  • 電解電極を50℃の乾燥機で24時間乾燥させて水分を除去する

    ⚠️ 注意
    適切な乾燥温度については、念のためにメーカーに確認してください。

8. 洗浄時のアセトン混入

原因

  • フラスコや電極類の洗浄にアセトンを使用しており、これが残存している
  • ケトン類はアルコール類と反応して水を生成

対策

  • フラスコ、電極類の洗浄にアセトンを
  • アルコール類で洗浄し、アセトンを除去する
  • 隔膜に染み込んだアセトンは、電解電極を乾燥機に入れて除去する
    乾燥温度はメーカーに確認してください。

まとめ

予備滴定が終わらない・ドリフト値が低下しない主な原因は以下の通りです。

  1. 水を含んだ空気が滞留
  2. シール不足による外気の侵入
  3. 双白金電極の汚れや変形
  4. セプタムの劣化
  5. 乾燥剤の劣化
  6. 試薬の劣化
  7. 隔膜に染み込んだ水分の影響
  8. 洗浄時のアセトン混入

対策の基本は、電極・器具・試薬を丁寧に管理し、清浄な状態とシール性を保つことです。
これにより、装置立ち上げ後の測定準備をスムーズに進めることができ、業務の効率化につながります。

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