FT-IRでわかる同位体効果 ― O–H と O–D の波数の違い
yusuke
ケム。
同位体は、
つまり、
化学結合の「形」は同じです。
それなのに、
これはなぜでしょうか。
答えは、
原子の「重さ」が、化学反応などにおける振る舞いに影響するからです。
化学結合は、
「棒で固定された構造」ではありません。
分子内の化学結合がバネのように、
振動しています。
この振動の性質が、
同位体で変わります。
2つの原子が結合した状態は、
物理的にはバネにつながれたおもりに例えられます。
このとき、振動数 ν は、
で決まります。
重要なのは、
おもりが重いほど、振動は遅くなる
という点です。
これを水に当てはめると、
では、
水素部分の質量が2倍違います。
その結果、
という差が生まれます。
原子の振動は
完全に止まることができない
とされています。
この最低エネルギーを
ゼロ点振動エネルギーと呼びます。
軽い原子ほど、
重い同位体ほど、
という関係になります。
化学反応では、
という過程を通ります。
O–H結合は
O–D結合より
そのため、
Hを含む方が反応性が高い
ことが多いのです。
これが
同位体効果です。
重水では、
生命活動は、
に依存しています。
そのため、
反応が少し遅れるだけで、大きな影響を受ける場合があります。